馬場亮太選手のレース攻略~レースウィークの過ごし方・準備編~
モトクロス国際A級、今年は全日本エンデューロ選手権に参戦中でトップカテゴリの国際Aを現時点でシリーズランキングトップ快走中の馬場亮太選手から、レース攻略についてコラムを寄稿頂きました。今後連載の予定です。トップライダーの貴重な声を、皆さんにお届けします~~!2022年は「TEAM 887withYSP浜松」から 主にMFJ全日本エンデューロ選手権(JEC)に参戦している馬場亮太です。 Photo by JEC PROMOTION 様今回は様々なレースを経験してきてチーム監督もしている立場から オフロードバイク・レース初心者の方、趣味でレースを楽しんでいる方などに レースウィークや当日の準備などなど 参考にしてもらえるような話をしていきたいと思います。 の前に、DB(馬場大貴)の弟のRBとしていきなり今年レースに出てきた奴とざっっっっくり知っている方が多いかもしれないので まずはバイク関係の自己紹介をさせていただきます。 チャンネル登録者数9000人以上を誇る、日本オフロード界ではかなりの知名度を誇るDB。youtubeチャンネルは要チェック自己紹介浜松市生まれ浜松市在住。 小さい頃からモトクロス競技をやってきて 2014年、17歳の時に 全日本モトクロス選手権 国際B級 IB2 クラス 年間ランキング 1位 IBOPEN クラス 年間ランキング2位を獲得 翌2015年から全日本モトクロス選手権 国際A級クラスに昇格、参戦をしてきました。 A級1年目の最高成績はたぶん総合5位くらいを2回くらい。あまり覚えていない。笑 2、3年目は膝の怪我やあちこち怪我をして焦って乗ってまた怪我をしてまともに出場できず。 皆さんは怪我をしたらしっかり治してからバイクに乗ってください。バイクが楽しくなくなります。笑 4年目のオフシーズンにあのJO SHIMODAを育てたヤニングというコーチに モトクロステクニックを教えてもらいに行きました。 2018年全日本モトクロス IA2参戦時 Photo by 楠堂亜希 様2018年全日本モトクロス IA2参戦時 Photo by 楠堂亜希 様2018年全日本モトクロス IA2参戦時 Photo by 楠堂亜希 様この経験が今の自分を作っていると言っていいほど色々なことを学びました。 そして4年目の広島大会、予選のスタートで転倒し脾臓という臓器を摘出。 この怪我が原因でモトクロスレース活動を終わり、 約3年ほどバイクから遠ざかった後 2022年からオンタイムエンデューロ競技JECにフル出場を始めました。 また全日本モトクロス選手権にはIA1クラス町田選手のチーム監督として帯同して 平日はババナショックス(サスペンションメンテナンスショップ)に勤め、日々オートバイのサスペンションをメンテナンスしたりチューニングしたりしています。 サスペンションメンテナンスショップ ババナショックス町田選手(ゼッケン11番)と馬場亮太選手。全日本モトクロスでは監督として帯同している。 オンタイムエンデューロJECって何?JECを知らない方からすると、ややこしいルールがたくさんあるよくわからないレースって感じだと思います。 約30分から1時間の周回コースの中に、“テスト区間“と“ルート区間“というものがあり、 テストはタイムアタック。ルートはテスト間やパドックまでの移動というイメージです。どちらかといえばこのルートがエンデューロっぽい岩や難易度の高いセクションがあります。テスト区間はタイムアタックなので、THE全開。この全開のタイムアタックはお客さんにも気迫が伝わるのではないでしょうか。 周回コースを何周かしてテスト区間のタイムアタック合計が短い(速い)ライダーの勝利。と 簡易的に説明するとこんな感じです。 2022 JEC中日本2DAYSエンデューロ Photo by 中日本エンデューロ部会 様全日本モトクロス、エンデューロレースのレースウィークの過ごし方モトクロスのレースに出ている時は火曜日か水曜日に、心拍数が上がるようなものや瞬発系のトレーニングをして水曜か木曜日に強度の弱いトレーニングでストレッチなども混ぜながら体が疲れてしまわないようにしていました。普段からランニングや軽い全身の筋トレはしていました。 エンデューロレースにでてからはこれといってルーティーンにしているトレーニングはなく、体の水分は枯渇しないように気をつけているくらいです。 夏場のレース前おすすめのトレーニングここで1つ、夏場のレース前おすすめのトレーニングがあります。 “サウナトレーニング“です。夏のレース前恒例で多い時は2~3週間通います。熱いサウナで12分(サウナ内の時計一周が12分)を2セット。熱くなくて12分が余裕ならもっと伸ばしてもいいと思います。これはマジでおすすめです。エンデューロにしてもモトクロスにしても。 よっしゃー暑さに強くなったぜっていう実感はありませんが、どんだけ暑くなっても気持ち的に当日やレース中がめちゃくちゃ楽になります。 マイナスな事は一切考えないレースは、あー雨降ったら自分遅いから嫌だなとか荒れたら嫌だなとか、この嫌だなのメンタルがすごいダメだと勝手に考えてるので、マイナスなことは一切考えません。 モトクロスIA1(国内最高峰クラス)の町田選手の監督もしていますが、ネガティブワードはレース上で言わせないようにしてます。(モトクロス時代の監督の教え) 怪我をして痛いところがあってもダメです。 と、これは本気でレースをしているひとに向けてで、エンジョイの人はここが痛いからダメだとか練習できてないんだよな~って言いまくってください。笑それも楽しいですからね。 町田選手と馬場選手。 Photo by えかきやたま 様レースに向けての準備マシンの消耗品や装具に関してはできるだけもしもの時にも備え、多めに。 雨具や雨対策グッズなども抜かりなく。 降らないっしょ、で降ってしまったらスタート前からハンデを負ってしまいます。 具体的な雨対策ヘルメットのバイザーの先に使わなくなったゴーグルレンズなどで延長バイザーをつけて、雨が少しでもグーグルについてしまうのを防ぐ。 かんたんに出来て効果が高いテクニック。BELLからは専用のレインバイザーが発売されているので、こちらもおススメ。ゴーグルの上側のフレームにはガムテープを半分に切ったもので、軒下のようなスペースを作ります。エンデューロのFOXロールオフなどは初めからこれがありますが、モトクロスでは主にティアオフをつけます。ティアオフ間に雨水が入ってしまうと視界が歪んで、路面との距離感などもぐにゃぐにゃでよくわからなくなってしまいます。 そしてもう一つ全日本モトクロスのライダーが、ひどい雨のレースで実践するマル秘テクも紹介します。 ゴーグルのレンズにゴーグルフレームに沿うように細く薄い両面テープを貼ります。 そこに7枚で1セットのラミネートティアオフを貼ります。そこにまた同じようにテープを貼りティアオフを貼り、、とすると先ほど言ったようなティアオフ間への雨水の侵入を完全に防ぐことができます。 地方選でもやっている方は見るようになりましたが、もし知らなかった方は実践してみてください。 レースDAYの下見や準備今年JECに出場するようになってから下見の重要さに改めて気づきました。JNCC、WEXでも難所やラインがいくつかあるときは、メイン、メインが実際走ってイマイチだった時、そこも転倒者などで塞がれていた時、といくつかシュミレーションしてラインを選んでおきましょう。 JNCCの渡辺学選手もコースの下見は何度かされているみたいですね。。。 モトクロス系のレースでもヒート1が終わって元気があったら昼休みなどに荒れた箇所を見にいくのをお勧めします。自分はモトクロス時代はこれをあまりしていませんでしたが、下見をしていることで自信をもってラインを変えれるか変えられないか、という小さいことも同じようなレベルで競っているライバルには大きな差になると思います。 JECは初見の長いコースを2周目から全開でタイムアタックするので、オーバーランしたり逆に戻しすぎたりしてしまいます。僕はコース下見の時に間違えてしまいそうなところやラインがいくつかあるセクションは動画を撮ってその日の夜にコースの復習をしています。 大体一緒にコースの下見に行く人たちには下見が入念で長すぎて待たせてしまいます。笑 マシンのセッティングマシンのセッティングはレース会場で大きく変えることはあまりありません。 タイヤの空気圧やムースの硬さは、雨なら空気圧をやや落としムースはやや柔らかいものを選ぶ、という感じです。 Photo by JECPROMOTION 様サスペンションも基本は練習で乗っているものからは大きくいじりません。一本目を走ってアジャスタを1~2いじるくらいです。どちらかといえばレースの日は走りに集中した方がいいんじゃないかな~というのが考えです。ここをいじるとここでこう良くなるという、方法が自分の中であればレース中でも冒険してみていいかもしれないですね。 Photo by 中日本エンデューロ部会またそのために普段の練習でサスペンションで遊んでおくことも大事かと思います。 試しに大げさにアジャスタを抜いてみたりしめてみたり、、、 イメトレあとは自分が理想とする走りを頭の中で何回もイメトレしましょう。 A級1年目に6~7位でスタートを出て混戦の中でも、ここの下りは早めにギア上げて、ここは大きいギャップあるから一瞬壁乗って避けて、とイメトレ通りに自分の走りに集中してたらスルスルと4番手まで上がり3番手のライダーを抜こうとした時に膝を怪我してしまいました。 ルーキーイヤーに追い上げていってというレース展開は中々なかったので、イメトレやべ~ってなりました。そして絶好調の時に怪我をするのもモトクロスあるあるですね。 ハイドレーションをつけるときは、ポカリやアクエリなどを水と混ぜて入れます。ポカリだけだと甘すぎて口の中がベタつくし水だけだと汗で出た何かを補えない気がするので。 とにかく下見にしても雨対策にしても、少しでもいい順位を目指す方は余るくらい下準備をしていきましょう。 とお堅いことばかり書いてしまいましたが、ガサツなどエンジョイライダーは準備なんかせず行き当たりばったりでレースしてほしいです。僕はそういうのを見るのも大好きです。笑~次回に続く~Photo by JEC PROMOTION 様
もっと読む













